がん末期患者の疼痛管理は、治療の重要な要素であり、適切なオピオイドの選択と投与方法が求められます。本記事では、オピオイド注射の処方設計について、具体的な計算方法や実際の例を通じて解説します。また、オピオイドスイッチを効率的に行うための準備や注意点についても触れます。

公式1

  1. オピオイド換算表を使用し、目的の投与量mg/dayを決定する
  2. mg/day → mL/day → mL/hrに変換
  3. 制約条件から理想のmL/hrを計算
  4.  希釈に必要な生理食塩水を計算

    なお(3)の制約条件とは、カセット容量、処方日数、流速上限、レスキュー量、設定できる小数点などです。

    処方設計1

    がん末期で内服困難。ベースはフェントステープ3mgを使用し、レスキューではアンペック坐剤10mgを使用している。持続皮下注に変更するとき、フェントステープ4mgの換算でモルヒネ注1%を使用したい。CADDレガシーポンプを使用する場合、処方箋はどのように記載すればよいか?なおカセットには10日分を充填し、7日ごとに処方が出るものとする。もしものために多めに処方してもらうということです。

    まずモルヒネ1%原液で調製した場合の流速を求めます。フェントステープ1mgとモルヒネ注15mgを等価とすると、フェントステープ4mgに相当するモルヒネ注は60mgになります。これを24時間で投与するため2.5mg/hrと計算できます。これを流速mL/hrに変換するとき、添付文書より10mg/mLを使うとよいです。つまり0.25mL/hrとなります。

    ここでCADDレガシーは小数点第一位までしか流速の調節ができないことに注意が必要です。仮に0.25mL/hrで調節できる場合は10日分(240hr)で60mLですが、これは実現させることができません。

    0.3mL/hrにすると10日分で72mL必要になります。増えた分の12mLを生理食塩水で補充すれば投与量は同じです。なお0.4mL/hrにすると同様の計算で96mL必要になります。このとき生理食塩水は36mL使用します。

    0.3mL/hrでも0.4mL/hrでもどちらでも問題ありませんが、100mLカセットを使用する場合は0.4mL/hrを選択することで満タンに近くなり、空気抜きの作業が少し楽になります。

    ここで一度整理すると、流速0.4mL/hrを採用すると、モルヒネ1%は60mL、生理食塩水は36mL必要になります。これを処方箋に落とし込むと以下のようになります。

    Rp.1)モルヒネ塩酸塩注射液10mg 60管
    Rp.2)生理食塩水20mL 2管

    公式2(1%製剤を用いる簡易版)

    麻薬注射の処方設計を行う際、1%製剤を使用する場合には、簡単な方法で計算することが可能です。具体的には、以下の製剤があります。具体的には、以下の製剤があり、すべて1%製剤になります。

    • モルヒネ注:10mg/1mL
    • オキシコドン注:50mg/50mL
    • ヒドロモルフォン注:20mg/20mL
    1. オピオイド換算表を使用し、目的の投与量mg/dayを決定する
    2. 下記の表から近いところを探すことで、流速と希釈倍率等を決定

    出典:アウトドア薬局

    処方設計2

    がん末期で内服困難。ベースはフェントステープ3mgを使用し、レスキューではアンペック坐剤10mgを使用している。持続皮下注に変更するとき、フェントステープ”約”4mgの換算でモルヒネ注1%を使用したい。CADDレガシーポンプを使用する場合、処方箋はどのように記載すればよいか?なおカセットには10日分を充填し、7日ごとに処方が出るものとする。もしものために多めに処方してもらうということです。

    まずモルヒネ1%原液で調製した場合の流速を求めます。フェントステープ1mgとモルヒネ注15mgを等価とすると、フェントステープ4mgに相当するモルヒネ注は60mgになります。

    表から60mg(2倍希釈,0.5mL/時)が見つかります。10日分で換算するとモルヒネ注600mg(60mL)と生理食塩水60mLであるため、処方箋は以下のようになります。

    Rp.1)モルヒネ塩酸塩注射液10mg 60管
    Rp.2)生理食塩水20mL 3管

     

    オピオイドスイッチの準備

    オピオイド注射を実施している際には、オピオイドスイッチを考慮するための量を事前に決めておくことが効率的です。計算が複雑になるため、入念にチェックを行い、在庫の確保をしておくことで余裕を持った対応が可能になります。具体例としては、以下のようになります。

    • オキファスト注:480mg/日(2.0mL/h)
    • モルヒネ注:480mg/日(4%の場合は0.5mL/h)