作用機序
ドセタキセルは微小管脱重合阻害薬と呼ばれる種類の抗がん剤です。細胞分裂の最終段階で、微小管の脱重合を阻害すれば、細胞が分裂できなくなります。そうすることで、がん細胞の増殖を防ぎます。
相互作用
CYP3A4阻害薬(クラリスロマイシン、シクロスポリン等)はドセタキセルと拮抗し、血中濃度を上昇させる傾向があるとされます。そのため、併用する場合は副作用発現に注意が必要になります。
副作用対策
ドセタキセルは細胞分裂を抑制する薬剤であり、細胞分裂のスピードが速いがん細胞に対して強力に作用します。しかし、毛母細胞にも影響するため脱毛の副作用が顕著に現れます。初回投与から2~3か月で脱毛症状が現れ、すべての注射が終了して2~3か月で回復します。
また骨髄細胞の細胞分裂も抑制するため、汎血球減少が起こります。このとき、発熱性好中球減少症の予防としてジーラスタ皮下注を使用することもあります。
投与時にアイスノンを手先に付けることで爪障害を防ぐ。氷を口に入れることで口内炎を防ぐ。このような方法をクライオセラピーと呼びます。また口内炎を防ぐために、うがいも効果的。
消化管粘膜も障害を受けるため、下痢になることもあります。投与当日の急性下痢と2日目以降に起こる遅発性の下痢に分けられます。
心毒性はアントラサイクリン系に代表されますが、そのほかの抗がん薬でも起こり得ます。ドセタキセルでは10%未満の頻度ですが、初回投与時は心電図、パルスオキシメーターを付けて副作用をモニタリングする。
ドセタキセルでは筋肉痛や関節痛の副作用も知られています。これに対しては、温めたりマッサージをしたりすると改善することがあり、痛み止めを使用することもあります。
また発熱性好中球減少症予防するジーラスタ皮下注にも筋肉痛の副作用があるため、併用により症状が強く表れることがあります。
ドセタキセルの催吐リスクは軽度であるためデキサメタゾン6.6mgを抗がん剤投与前に使用することが基本です。
ドセタキセルに特徴的な副作用として遅発性のむくみがあります。総投与量が300〜400/㎡に達すると起こりやすく、目安としては4〜5回目投与後に起こりやすくなります。症状として手足のむくみやお腹の張りを訴えることがあります。体重変化を記録することで早期発見につながります。なお投与終了により改善することが知られていますが、状況によってはデキサメタゾンや利尿薬を投与(併用)することもあります。
過敏反応についてもタキサン系では頻発することが知られています。プラチナ系では投与回数を増すごとに発現率が高くなるのに対し、タキサン系では初回投与時の発現率が高くなります。
タキサン系では末梢神経障害が起こりやすいことが知られています。症状のパターとしては手袋靴下型であることが多いです。ドセタキセルはパクリタキセルより末梢神経障害の頻度が低いとされています。また牛車腎気丸がタキサン系抗がん剤の末梢神経障害に有効であるとされるRCTがあります。ただしオキサリプラチンについてはエビデンスに乏しく、学会からは推奨されていません。デュロキセチンについてはタキサン系よりオキサリプラチンによる末梢神経障害性疼痛に有効だとされています。
副作用が起こりやすい時期
点滴当日〜数日
悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、手足のしびれ
数日〜数週間
口内炎、脱毛、爪変形、味覚変化、、感染症(骨髄抑制)、筋肉痛・関節痛
数週間〜数ヶ月
むくみ、爪変形、涙目
常に注意が必要
間質性肺炎
メモ
ドセタキセルとカバジタキセルでは有害事象の割合が異なる。例えば、脱毛が多いのはドセタキセル、好中球減少症が多いのはカバジタキセル(ほぼ必発)だがGCFS製剤でコントロールが可能。
インタビューフォームを確認すれば、投与量と投与期間による副作用発現頻度を確認することができる。
