デルマトームは、体の表面に沿った特定の神経の働きを示すエリアです。イメージとしては、地図のように考えることができます。神経は体中に走っていて、それぞれが担当する領域があります。例えば、ある神経が肩や腕、背中の一部を担当し、別の神経が腹部や脚を担当します。

もし何かが神経に問題があったり損傷を受けたりすると、そのデルマトームに関連する部分で感覚や動きに変化が現れるかもしれません。これがデルマトームが重要な役割を果たす理由です。

例えば、けがや病気が神経に影響を与えた場合、そのデルマトームに関連する部分で感覚が鈍くなったり、痛み・痺れが生じたりすることがあります。

5種類の脊髄神経と支配領域

脊髄神経は以下の5種類に分類することができ、それぞれ略語で記載されることが多いです。

脊髄神経 英語 略語
頸神経 spinal nerve C
胸髄 thoracic nerve T
腰髄 lumbar nerve L
仙髄 sacral nerve S
尾髄 coccygeal nerve Co

また頸髄からは8対の末梢神経が出ており、上から順にC1〜C8と名付けられています。同様に胸髄は12対、腰髄は5対、仙髄は5対、尾髄は1対の末梢神経に番号がつけられています。それらの神経が支配する皮膚領域を図にすると以下のようになります。

障害された神経の推測の例

頸髄からは8対の末梢神経が出ます。これらの神経は第1頸神経(C1) から第8頸神経(C8)まであり、頭から両手までの皮膚感覚を支配します。この支配はデルマトームと呼ばれ、首の部分では首から手の指までの範囲を示します。

デルマトームを具体的に見ると、第6頸神経 (C6) は手の親指側第7頸神経 (C7) は人指し指と中指第8頸神経 (C8) は薬指と小指側を支配します。首のヘルニアや頚椎症では、これらの神経が障害され、障害された部位によって首から手の親指側 (C6) や、中指側 (C7) 、または小指側 (C8) 側が分節状にしびれることがあります。

腰椎椎間板ヘルニアの場合、L4/5の間、L5/S1の間に発生しやすく、L4は下肢(もも・膝から先)前面、L5は下肢外側、S1は足の裏に症状が出やすくなります。

このように、「実際に痛い部位」とデルマトームの「神経の分布」とを照らし合わせることで、その神経症状を起こしうる椎間板を推測することができるのです。

がんが脊椎に骨転移すると、デルマトームを利用して場所を推定することが可能です。肺がん、乳がん、前立腺癌では骨転移が頻繁に起こり、その中でも脊椎への転移が多いです。特に胸椎、腰仙部、頚椎がよく影響を受けます。

この転移による痛みは、ビリビリした感覚や放散痛のように、皮膚表面に広がることが一般的です。