ベスキチンは、ドレッシング材の一種であり、褥瘡治療に使われることがあります。褥瘡にドレッシング材を使用する際は、湿潤状況や感染の有無などを考慮して、最適なものを選択する必要があります。ここではベスキチンはどのような場合に適しているか説明します。

ベスキチンの効果や特徴:浸出液を吸収

キチンは甲殻類の殻から、カルシウムやタンパク質を除去して作られるアミノ多糖類です。これを加工して不織布にした製剤としてベスキチンがあります。

ちなみに不織布とは繊維を織らずに絡み合わせたシート状のものを言います。つまりキチン繊維を絡み合わせてシート状にしたものがベスキチンということです。

ベスキチンは生体親和性が高く、その性質を応用して褥瘡や耳鼻科領域で使用されることが多いです。

褥瘡

ベスキチンは浸出液を吸収し保持するため浸出液の多い創に適しています。これにより良性肉芽が作られ、褥瘡を浅くする作用があります。

ポピドンヨード(ユーパスタ)などの外用薬も浸出液を吸収する特徴がありますが、水分を含むことで溶けてしまうため創面固定が難しくなる場合があります。

ベスキチンは不織布であるため外用薬より創面固定に優れている特徴があります。そのため、ポケットがある褥瘡に対して、ベスキチンをに詰め込み創面固定する方法が取られることがあります。

耳鼻科

破れた鼓膜を修復させるとき、穴の空いた鼓膜にベスキチンを被せる方法が取られることがあります。これはキチンの良性肉芽形成や表皮化促進の作用を応用したものです。

またベスキチンには止血や鎮痛作用もあります。そのため、鼻手術後には創にベスキチンをタンポンのように留置することで止血し、さらにベスキチン除去時の痛みを軽減することを期待して使用されます。

ベスキチン製剤の種類

販売名 皮膚損傷用創傷被覆材 管理区分
ベスキチンW 真皮に至る創傷用 管理医療機器
ベスキチンW-A 皮下組織に至る創傷用 高度管理医療機器
ベスキチンF 筋・骨に至る創傷用 高度管理医療機器

それぞれの製剤について、大きさも複数用意されています。例えば以下はベスキチンW-Aになります。

添付文書を確認して適正な大きさのベスキチンを選択して注文しましょう。なお範囲が大きく1枚で足りない場合は複数枚を同時に使用します。

ベスキチンの使用方法

ベスキチンW、ベスキチンW-A、ベスキチンFにはそれぞれ添付文書があり、使用法についての記載があります。以下を参照すると添付文書を閲覧することができます。

使用方法は製剤や適応によってそれぞれ異なるため、添付文書を参照してください。以下は褥瘡に使用する場合のポイントについて説明します。

ガーゼで保護

ベスキチンは非固着性のため、ガーゼなどを上から貼付して創傷に固定します。そのため透明なドレッシング材と異なり、創部の観察ができなくなることがデメリットです。

交換のタイミング

浸出液が多い場合は毎日交換し、改善に向かい浸出液が少なくなれば交換時期を適宜延長します。ベスキチンの上に貼付したガーゼの濡れ具合などから浸出液の量を判断します。

ベスキチンは溶けることがある

ベスキチンは製品自体がリゾチームなどの生体内酵素により分解されるため、ベスキチンを剥がしたとき、部分的に溶けていることがありますが問題ありません。ただしベスキチンは完全に解けることは無いため、ある時点で除去する必要があります。

甲殻類アレルギーの場合

ベスキチンは甲殻類の殻を減量に作られていますが、タンパク質は除去されているため、甲殻類アレルギーのある患者でも「注意して使用可」となっています。

フィブラストスプレーとの併用

フィブラストスプレーの主剤であるb-FGFはガーゼやハイドロファイバーなどに吸着するため、併用すると効果が落ちる可能性があります。しかし、ベスキチンはb-FGFを吸着しないため併用も可能です。

例えば、ポケットのある褥瘡に使用する場合、ベスキチンWAにフィブラストスプレーを噴霧してポケットに留置することで、湿潤環境を保ちながら肉芽形成を促進することが可能です。

保険請求・算定方法の注意点

ベスキチンは、保険適用となる皮膚欠損用創傷被覆材の一つです。条件を満たせば、ベスキチンを使用した場合には保険請求が可能です。

保険算定の対象

在宅療養指導管理料(C100-C119)

つまり在宅患者でなければ保険適応にならないことに注意が必要です。また特定保険医療材料を保険請求する際は、仕入値にかかわらず、決められた金額(償還価格)で計算されます。

以下は償還価格の一例ですが、度々更新されるため最新情報を確認しましょう。

販売名 機能区分 償還価格
ベスキチンW 真皮に至る創傷用 6円/c㎡
ベスキチンW-A 皮下組織に至る創傷用 10円/c㎡
ベスキチンF 筋・骨に至る創傷用 25円/c㎡

自費で購入する場合

ベスキチンWは管理医療機器であり、「高度管理医療機器販売」の許可申請を行わずとも販売が可能です。

一方で、ベスキチンW、ベスキチンFは高度管理医療機器であり、自費で販売する場合は「高度管理医療機器販売」の許可が必要です。