タペンタドールは、トラマドールをもとにして開発された薬であり、セロトニン再取り込み阻害作用を軽減し、オピオイドμ受容体への作用とノルアドレナリン再取り込み阻害作用によって鎮痛効果を発揮する強オピオイドです。

なおタペンタドール製剤としてはタペンタ錠しかありません。タペンタ錠は徐放状であるため、ベース投与のみであり、レスキュー薬としての使用はできません。

作用機序・薬物動態・副作用の特徴

タペンタドールはプロドラッグではないため、CYP3A4やCYP2D6の遺伝多型・相互作用に関係なく治療効果が期待できる。なおタペンタドールは主にグルクロン酸抱合により代謝されます。腎機能低下者や透析患者でも常用量での投与が可能です。

セロトニン再取り込み阻害作用が軽減されたため、トラマドールに比べてセロトニン症候群の頻度は低いです。しかし若干のセロトニン再取り込み阻害作用があるため、SSRIのようなセロトニン再取り込み阻害作用のある薬剤と併用するとき、セロトニン症候群に注意が必要になります。

なおMAO阻害薬であるセレギリン、エフピー、サフィナミドとの併用はセロトニン症候群を引き起こす可能性があるため併用禁忌になっています。

µ受容体への作用が少ないことから,副作用として眠気,消化器症状などの有害事象が少ないとされます。

実務上のポイント

オキシコドンとの換算

オキシコドンとの換算比は確立されており、経口オキシコドン20mg=経口タペンタドール100mg、つまり1:5の換算比になります。

増量・上限

添付文書には使用量の25〜50%を目安に増量するように記載があるため、増量のパターンとして以下のようにすると良いことになります。

1日量 1回量
50mg 25mg
100mg 50mg
150mg 25mg+50mg
200mg 100mg
250mg 100mg+25mg
300mg 100mg+50mg
400mg 100mg+100mg

なお1日50〜400mgを1日2回に分けて経口投与し、症状により適宜増減するとあるため、400mg以上でも投与することは可能です。ただし、1日量が500mgを超える使用に関する成績が得られていないため、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ投与するべきです。

強オピオイドとの併用

オキシコドン徐放錠+プレガバリンで「ねむいけれど痛い」神経障害性疼痛にオキシコドン徐放錠と併用すると改善する場合があり、他の強オピオイドと併用されることもあります。

乱用防止製剤・廃棄方法

タペンタドールは乱用防止のために、改変防止技術(TRF:Tamper ResistantFormulation)が用いられています。これにより錠剤の分割が難しいく、また水やエタノールに溶かすとゲル状になり注射器で成分を抽出することもできません。

使用済みや期限切れを廃棄する場合、タペンタ錠は焼却またはガムテープなどで包み、錠剤が見えない状態で通常の医薬品と同様に廃棄することになります。

参考